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年収と自動車の価格の意外な関係

2019年9月18日

「人生で2番目に高い買い物」として言われる自動車。

下は100万円台からあり、上は天井知らずです。

なぜこんなにも価格差があるのか!?

何が違うのかをマーケティングの立場からお知らせします。

自動車の価格帯の秘密

昭和40年代の自動車の価格差

昭和40年代、トヨタカローラは52万5000円で販売されていました。

カローラの価格の秘密

高級車の代名詞だったクラウンは79万円だったと言います。

昭和44年のサラリーマンの平均年収は44万7600円

年収ですよ?

月収ベースだと3万2千円くらいです。

自動車は年収を超える夢の乗り物だったのです。

お金持ちがクラウンに乗っていた

一般大衆車カローラと高級車の価格比は52.5万円と79万円。

概ね1:1.5でした。

このころ、下層サラリーマンと、いわゆるエリートサラリーマンとの収入格差はそれほどなかったためこのような価格設定に自然となっていきました。

 

つまり、平均の人⇒カローラ。

お金持ち⇒クラウン。

それぞれの年収に応じた車種が準備されていたのです。

 

2005年からの自動車の価格差

トヨタは全く新しいブランド「レクサス」を2005年から展開してきました。

従来の「トヨタ」の名前は一切入っていません。

せっかく育てたブランド名を全く使わず、新しいブランドを立ち上げたのです。

これはなぜでしょうか!? 

レクサスブランドを立ち上げた

 

このころトヨタで最も安い車種は、ヴィッツかパッソで販売価格は概ね100万円でした。

一方高い方は、それほど高いものがなかったのです。

この時期自動車が売れず、各社非常に苦しい時期でした。

 

サラリーマンの年収格差を見たら、下は300万円台

上は2000万円台となりました。

年収2000万円以上の人が全体の3.8%と言われています。

年収格差は1:6.7となっています。

 

年収300万円の人⇒ヴィッツやパッソ

年収2000万円の人⇒対応する自動車がない!

 

 

年収の格差が約7倍になったため、富裕層のための自動車を出さないといけない。

だけど、2000万円を超える自動車が売れるわけがない。

このようなジレンマに行き当たりました。

 

例えば、マックで一番安いハンバーガーが100円だとしたら、7倍も高い700円のハンバーガーはほとんどの人が買いません。

マクドナルドのメニュー

例えば、吉野家で380円の牛丼並盛の7倍の値段の2,660円の牛丼があっても誰も食べないのです。

 

ワンコインでランチを食べようと思っている人が、3000円近いランチを食べる可能性はほぼゼロです。

これはブランドイメージとして、「マック=安い」「吉野家=安い」と定着しているからです。

言い換えると「客層が違う」のです。

 

年収2000万円以上の人に対応する自動車を準備するには、年収2000万円以上の客層が満足するブランドが必要だったのです。

 

そこで、レクサスが誕生しました。

ディーラーもトヨタとレクサスは別々です。

 

トヨタは店舗カラーがオレンジだったり、ブルーだったり、赤だったりしましたが、レクサスは黒やブラウンを基調とした店舗を展開しています。

これも色から受ける印象に高級感を持たせているのです。

 

現在レクサスで最も高価格帯の車種は約1000万円。

トヨタの考えでは、2000万円を超えるものを出してくると予想できます。

現在のベンツやフェラーリなどの価格帯を取っていくはずです。

そのための、別ブランドだったのです。

フェラーリの決済手数料

 

また、意外な効果も生まれました。

高い自動車が売れなかったのですが、レクサスを立ち上げて一層上の価格帯を作ることでトヨタブランドでもトヨタの範囲で高い自動車が売れるようになってきたのです。

例えば、クラウンで約700万円。

 

今後の自動車価格の予想

今後年収格差はさらに開きます。

下は年収200万円台がもう見えています。

片足突っ込んでいる状態かもしれません。

上はさらに富裕層の収入が伸びるでしょう。

 

トヨタは、さらに安い自動車をトヨタで、さらに高い自動車をレクサスで展開していくと思われます。

 

どの価格帯が最もお得か

分かりやすいように、カローラ、クラウン、レクサス、どの価格帯の自動車が最もお得でしょうか?

実は費用対効果が最も高いのは、カローラのクラスだと言えます。

⇒ 自動車の原価|これを知ったら強気で値引き交渉できる!

 

なぜなら、これ以上削るものはほとんどないからです。

台数もかなり出るので、製造のための単価も削れます。

ところが、レクサスが飛ぶように売れることはほとんどありません。

数の意味で、それほどの需要がないからです。

1台当たりの製造コストは上がります。

実際のところ、カローラと何が違うのかと言われても、内装が皮になっても、塗装が1層増えても、原価が数倍になることはありません。

つまり、費用対効果と言う意味ではだんだん悪くなってきます。

 

たまに高級車は比例して原価率が高いと思われている方もおられますが、原価はせいぜい2倍程度です。

価格は数倍から、10倍くらいは行きます。